2016年06月06日

『筆跡鑑定人・東雲清一郎は、書を書かない。』


6月7日、シリーズ第2弾!
『筆跡鑑定人・東雲清一郎は、書を書かない。 鎌倉の猫は手紙を運ぶ(著:谷 春慶/イラスト:カズアキ)が発売です!

美しい文字で書かれた手紙を運ぶ猫、鎌倉の町に記された記号の真実、戦国武将や利休などの古書にまつわる真贋判定、そして東雲の過去にふれた1作と、「書」と「文字」についての謎を、お届けします。




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【STORY】
文字は、
偽れな
 大学一の有名人かつアンタッチャブルな存在――東雲清一郎。美咲は祖父の手紙の鑑定を通して彼と親しくなるが、清一郎の毒舌は相変わらずで……。黒猫を介した文通相手の秘密、鎌倉の街に描かれた奇妙なマークの謎、東雲の書に対する葛藤、そして、美咲の決意――「文字は嘘をつかない。本当に鑑定していいんだな?」。鎌倉を舞台に、文字と書、人の想いにまつわる事件を描く大人気ミステリー、第2弾です。
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【ちょい読み】
猫が運んだのは、手紙と謎――。
「本当に綺麗になった!」

 雪穂も驚いたように自分の書いた文字を見つめていた。美咲も自分の書く文字がうまくなっていくのを実感できている。そこで美咲は清一郎に視線を向けた。
「ほかにはコツとかあるの?」
「見栄えをよくするのなら、文字を揃えるということが重要だ」
 雪穂は言葉の意味を咀嚼しようと、眉間に皺を寄せていた。

「簡単な話、縦書きなら前の文字に合わせて真っ直ぐ書く。文字の幅もしっかり合わせる。それと、偏(へん)と旁(つくり)がある場合、偏の右側を縦に綺麗に合わせるんだ。そうすると旁の左側も自然と整う」
 言いながら『新』や『政』という漢字を書いていく。
「それと見栄えを出すために、あえて突きだすというのも大事だ」
 そう言って『書』を二文字書いた。片方は二画目の横線が一本だけ突きだすように伸びており、もう片方は他の横線と大差ない長さになっている。
「確かに突きだしてるほうが、なんか格好いい」
「基本的にはそろえるが、あえて突き出してコントラストを作ることで、形を整える場合もある。例外もあるが、だいたい偏は左に伸ばし、旁は右に伸ばすと形が決まる傾向にある。いろいろ、試してみるといい」
 雪穂と美咲は様々な漢字をルーズリーフに書いていった。ふと、雪穂が顔をあげた。
「でも、今までずっと漢字の話だけだよね?」
「ひらがなは漢字以上に難しい。曲線が多いからな。基本的には突きだすところは突きだし、曲げるところはしっかり曲げるのは漢字と同じだ。だが『し』や『り』などのひらがなは縦長にするイメージを持っておくと形が決まりやすい。まあ、ひらがなは漢字のようなコツらしいコツはないな。しっかり書くだけだ」

 雪穂は「なるほど」とうなずいて、ルーズリーフに文字を書いていった。
「でも、ちょっと話を聞いただけで、なんか字がうまくなった気がする」
「それだけ今までいい加減な字を書いてたということだろ」
 清一郎の毒舌に雪穂は「すいません」とうつむいていた。
「ところで、君は手紙のために文字をうまく書きたいと思うようになったと聞いたが、今時ラブレターとは古風なんだな」
「え? ラブレター? 全然違うから!」
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「文字は嘘をつかない。本当に鑑定していいんだな?」
古都・鎌倉を舞台に巻き起こる、文字と書にまつわる4つの事件の連作短編ミステリー、第2弾をお楽しみに!!


 
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