2010年11月24日
第2回「このラノ大賞」応募に向けてのアドバイス(番外編)
『このラノ』編集部のSです。
先週には『このライトノベルがすごい!2011』が発売になり、
12月刊行のこのラノ文庫の編集作業もひと段落しつつある今日この頃ですが、
1つ終われば次は……ということで、今度は来年1月刊行分の作業にとりかかっております。
しかも今回は年末進行というやつで全体的にスケジュールが早まっているので、
まさに休む間もなく次の作業にかかっている印象。
そんなわけで相変わらず毎日ひーひー言ってますが、
その分、1月刊行分でも読者の皆さんに十分に楽しんでいただける
作品をお届けすることができそうです。
どうぞご期待ください。
さて、新刊の情報はまた表にできるようになり次第お伝えしていこうと思いますが、
今回は予告しておいた通り、いよいよ真の最終回となる
『第2回「このラノ大賞」応募に向けてのアドバイス』をお送りしたいと思います。
とはいえ直接的・実用的な面は今まで以上に薄いので、
「応募原稿書くのに精一杯でそんなの読んでる暇ねーよ!」という方は、
どうぞがんばって先を書き進めてください。
そうして書き終えたころに、気が向いたら目を通していただければと思います。
(長くなったので、続きは↓で)
「最後にもう1つ、これから応募しようとしている方に
伝えておきたいことがあります」と書きました。
それは何かというと、
「受賞というのは、ゴールではない。むしろ、そこからがスタートだ」
ということです。
今、受賞を目指して投稿されている方の中には、
作家になることだけを目標にがんばっていて、
作家になった「その先」については頭にない人も多いのではないかと思います。
受賞した、賞金もらった、デビューした、もう二度と小説書かない――
そういう人であれば、デビューだけを目標にがんばるのもアリでしょう。
ですがほとんどの作家志望者は、デビューしたあとも書き続けたい、
作家であり続けたいと漠然と考えているのではないでしょうか。
そしてそれは、デビューするまでに重ねた苦労より、はるかに大きな苦労が伴う道のりなのです。
作家を続けるには、何よりもまず「書き続けること」が重要です。
たとえ書きたくなくても、締め切りというものは容赦なくやってきます。
アイデアが浮かばなければ絞り出し、気分が乗らなければ何とか奮い立たせて、
とにかく書き進めなければいけません。
そうして身を削るような思いをして書いた作品であっても、
必ずしも売れるとは限りません。
売れなければいずれ、次の作品を書くことすらできなくなります。
(ネット上でのさまざまな評価にさらされなければならない、
という苦労も、今は含めてもいいかもしれません)
仮に売れたとしても、売れ続けるとは限らない。
25歳でデビューした人が平均寿命を迎えるまで、およそ50年。
その間、ずっと書き続けていられる保証はどこにもありません。
上に挙げたのはほんの一部で、実際には恐らくもっと多くの苦労が付きまといます。
「作家であり続けること」は、「作家になること」よりはるかに大変なのです。
自分の立場でこういうことを言うのはアレかもしれませんが、
正直、人並みに満たされた生活を送りたいのであれば、
作家になるのなんか諦めて普通に職に就いたほうがいいです。
それでも作家になりたいというのであれば、
それなりの覚悟をもって臨んでください。
幸い、作家に定年はありません。
今「それなりの覚悟」がないのであれば、とりあえず今は見聞を広めておいて、
何年後かに改めて挑戦するというのも手です。
そのインターバル期間に得た知識や経験が、
作家になったあとで役に立つことがあるかもしれません。
その頃にはもう、あなたの作風はライトノベルの世界で書いていくには
難しいものになっているかもしれませんが、
そうならそうで、ライトノベルではない、別の賞を目指せばいいだけのことです。
作家になるための近道はありませんが、結果的に近道になる道はあると思います。
その道を見出すためにも、作家を目指す皆さんは、
「作家になってどうするか」「どんな作家になりたいか」、ということを、
ときどきでいいので考えてみてください。
(まあ、そもそもこういうことを考えずに突っ走った結果、
作家になっちゃった、という人もいるかと思いますが、
そういう人は最初からこんなところ見てないと思います)
作家志望の方が読めば、いろいろとげんなりするであろうことも書いてきましたが、
ここまでの内容を読んで諦めるくらいなら、そもそもその人は
作家に向いてなかったのだ、という思いもあります。
どんな苦労を背負ってでも、自分の中に生まれた物語を、多くの人に届けたい。
そういう思いが、作家であり続けるための何よりの原動力ですし、
我々編集者もまた、その思いに応えたいと思っています。
編集者として一番幸せな瞬間というのは、この作品を世に送り出したい、
作品に込められた思いを、1人でも多くの人に伝えたい、
そう思わせる作品に出会ったときです。
間もなく選考が始まる第2回『このライトノベルがすごい!』大賞で、
1作でも多く、そういう作品に出会えることを祈っています。
1か月少々にわたって続けてきた当企画、いかがだったでしょうか。
振り返れば我ながら取りとめない内容だったなあと反省しきりですが、
とりあえず、ここまで書いてきた内容が
少しでも作家志望の方々のお役に立てたなら幸いです。
第2回『このライトノベルがすごい!』大賞の応募締め切りは2011年1月10日。
皆さんの力作をお待ちしております。
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