2010年11月03日

第2回「このラノ大賞」応募に向けてのアドバイス(第4回)

『このラノ』編集部のSです。

今日も今日とてブログ更新。
本日はここのところ火曜日恒例となっております、
『第2回「このラノ大賞」応募に向けてのアドバイス』の日であります。
第4回めの今日は、ここまで割と抽象的な話が続いていたので、
ここらで1つ、具体的なアドバイスをしておきたいと思います。


といっても、「どうすれば上手い文章が書けるのか?」みたいな、
技術的な話をするつもりはありません。
私は編集者ですが、文章の専門家、日本語の専門家というわけではありません。
目の前に具体的な原稿があれば、ここをこうすればもっとよくなる、
というアドバイスができますが、
何もないところから万人に向けて「指導」するのは、私の手にはちょっと余ります。
言えるのはせいぜい「たくさん読んでたくさん書け」くらいです。
もっと具体的な話は、すでに世の中に出回っている
指南本などにお任せしたいと思います。
期待していた人はごめんなさい。

 

では、一体どんなアドバイスをしてくれるつもりやねん、ということですが、
実のところ私の言っておきたいことというのはただ1つです。
それは「応募要項を守ってください」ということです。


「そんなの当たり前やんけ」と思っている方。
みんながみんな、そうであればこちらとしても非常に楽なのですが(笑)、
残念ながら送られてくる原稿を見る限り、そういう方ばかりというわけではありません。
枚数が不足&超過しているなんていうのはまだ可愛いほう。
原稿以外のものを入れるなと書いているのに、設定資料なんかをつけてくる。
ダブルクリップで綴じて下さいと書いているのに、紐で綴じてくる。
感熱紙はダメと書いているのに、感熱紙で応募してくる。
これすべて、応募規定外により問答無用で選考対象外になります。
原稿を紐で綴じたばかりに、渾身の力を込めて執筆した一作が、
読まれることすらなく落選してしまうわけです。

就職活動をしたことがある人は、1字の間違いもないように、
真剣に履歴書を書いた覚えがあるかと思います。
新人賞への応募もそれと同じです。
あえて上から目線で書きますが、我々は「選考する側」、応募者は「選考してもらう側」です。
どんなささいなキズを理由に落とされても、応募者は文句を言えません。
そうならないように、細心の注意を払って応募書類を作るのは、
ある意味当然のことなのではないかと思います。

 

どうしてそこまで厳しいのか。
小説の賞なんだから、中身が面白ければ別にいいじゃないか。
そう思う人もいるかもしれません。
それが一面の真実であることは否定しませんが、
我々編集者の側からすると、それだけでは足りない、ということになります。

我々は選考の際、作品の中身と同じ、あるいはそれ以上に、
書いている人の人柄というのを考えます。
なぜならその作品を選考通過させ、本として出すことになった暁には、
書いている本人と実際に会い、対話しながら
作品を本の形にしていかなければならないからです。
そして2作、3作と続いていくなら、その関係がずっと続くことになります。
我々は編集者であり、カウンセラーではありません。
小説の中身をよくしていくことはできても、相手の心持を変えることはできません。
もちろん最初からものすごく面白い作品が書けるなら話は別ですが、
そんな天才にはそうそうめぐり合えない。
それなりに面白い作品を書ける人が2人いれば、
性格のよさそうなほうを選ぶのは当然の流れです。


だからこそ我々は、原稿を通じて書き手の人物像を想像します。
応募規定が守られていない原稿を見ると、
「ああ、この人はこちらの書いたものをちゃんと読んでくれないんだな」
と判断するわけです(それが真実かどうかは別にして)。

 

思っていたより長くなったので、この話は次回に続きます。
来週をお楽しみに。

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