2010年09月
2010年09月24日
栗山千明賞受賞・大間九郎氏の連作短編がスタート!
『このラノ』編集部のMです。
本日から特集サイトのスぺシャルブログ(言いづらいですね、コレ)で
連載スタートした栗山千明賞受賞・大間九郎の連作短編、
『君の止まり木はたぶん俺で俺の止まり木は必ず君』は、
お楽しみいただけたでしょうか?
『ファンダ・メンダ・マウス』とは趣きが異なる
河童と人間が織りなす、味わい深い(深すぎる?)異種族間恋愛。
ぐたぐたな感じでスタートする彼らの関係が妙にリアルですが、
ただの恋愛話では収まらないのが大間流。
明日の第3話もお楽しみに♪
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実はこの原稿、編集部から依頼したものではありません。
受賞コメントを書き終えた後、河童モチーフが気に入ったのか、
ざくさく続きを書く大間さんから、どんどん送られてきたものなのです。
毎日送られてくる「河童(仮)」を、
個人的に楽しんでおりましたが(担当編集の特権って奴ですね!)、
あまりに面白いため、このたび特設ブログで一挙掲載することにしました。
そして、第2部もあったりします。
こちらも近日公開予定。急展開です。ご期待を!
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2010年09月23日
コトモノ入門 第3回
「このラノ」編集部のSです。
一昨日から続けてきた「コトモノ入門」もいよいよ最終回。
今日は実際に、コトモノがストーリーにどんなふうにかかわっているのかを
お伝えしたいと思います。
主人公・武藤吾朗(通称ロゴ)は高校生。
物語は彼が、全国で起こっている連続詞族襲撃事件に巻き込まれるところから始まります。
さまざまな成り行きによって、事件現場に居合わせることになったロゴ。
そこで詞族を襲っていたのは、かつての幼なじみ・真木成美だった。
ロゴは事件を止められるのか? 成美の目的とは何か?
……といったあたりが、物語の見どころといえるでしょう。
ロゴもまた、コトモノのひとり。
もっとも彼は、コトモノとしてはちょっと特殊です。
コトモノは通常、本人の認識ごと変化してしまいますが(これを「同一型」という)、
ロゴの場合、左手にロゴとは異なる別の意識が宿っており、
その意識こそがコトモノとなっています(このようなタイプを「分離型」といいます)。
コトモノの名は〈ダリ〉。
コトモノと顔を合わせたとき、そのコトモノのイメージを独自の解釈で絵にし、
自動的に描くコトモノ。
ダリを持つロゴは、その能力ゆえに多くのコトモノにかかわってきました。
コトモノにまつわる悲劇と喜劇を目の当たりにし続けてきたロゴは、
いつしかコトモノである自分には選択肢はなく、
ただただ状況に流されていくしかない……と考えるようになります。
そんなロゴが、事件を通してどう変わっていくのか。
以前も書きましたが、それを描くのが『ランジーン×コード』という物語でもあります。
連続詞族襲撃事件の犯人たる成美もまた、分離型のコトモノを持っています。
彼女が持つのは、コトモノを喰うコトモノ〈ゼムト〉。
ゼムトは喰ったコトモノの性質を自分のものとする力を持っています。
人より聴覚が発達したコトモノを喰えば、遠くの音まで聞こえるようになるし、
脚力を発達させたコトモノを喰えば、人より速いスピードで走ることもできます。
さらにゼムトは、それらの能力を自在に切り替え、操ることができます。
対するロゴは、コトモノのイメージを絵に起こすことしかできません。
戦えばまず勝ち目のない相手と、ロゴがどう対峙していくのか、
ぜひ注目して欲しいと思います。
そしてロゴと共に事件に巻き込まれる、謎の少女・名瀬由沙美。
彼女は普通、本人以外には話せないはずの遺言詞をなぜか唱えることができ、
成美もまた、執拗に彼女を狙います。
開始当初は謎に包まれている彼女の正体が鍵となって、
物語はどんどんと加速していきます。
彼女もまたコトモノですが、その性質がどんなものであるかは、
物語の根幹にかかわるため、ここでは明かせません。
ただ、昨日、一昨日と説明してきた、コトモノという存在の持つ性質を
根底から揺るがすものである……とだけ書いておきます。
そして物語のクライマックスでは、その性質が最大限に発揮された結果、
かつてないバトルシーンが展開することになります。
それがどんなものなのか、ぜひ自分の目で確かめてみてください。
ロゴや成美、由沙美以外にも、作中には多数のキャラクターが登場します。
ポイントは、それぞれが異なる考えのもと、コトモノにかかわっているということ。
コトモノによる事件を防止、解決するために奔走する刑事・福地治夫。
遺言詞産業のトップ企業の社員であり、コトモノを利用する立場にある不破太一。
産業利用されるコトモノの現状を憂う科学者・宇津木律子。
そして、弱いコトモノたちを保護し、共に暮らしている女性・アカネ。
いずれも異なる立場・思惑の大人たちがさまざまに考えをめぐらせ、物語の裏で暗躍します。
それぞれの考えがぶつかり合い、物語を動かしていく緊迫感にも要注目です。
設定、ストーリー、キャラクター、それぞれに見どころのある
『ランジーン×コード』という作品ですが、
それの世界観を絵という形で支えてくれた方のことも忘れてはいけません。
コトモノという人ならざる存在が多数登場し、
ともすればイメージしづらい部分もある本作の世界観ですが、
イラストレーターのしばの番茶さんは、それを見事に形にしてくれました。
その力量は、本を手に取り、ぱらぱらとめくるだけでも十分に伝わるはず。
世界の広がりを感じさせる、精緻なイラストに魅せられたなら、
ぜひ本文にも目を向けていただきたいと思います。
さて、3日間にわたってお送りしてきた『ランジーン×コード』の紹介、
いかがだったでしょうか。
担当なりにこの作品の魅力が少しでも伝わるべく言葉を尽くしてきたつもりですが、
それを知ってもらうには、何より読んでもらうのが一番なのもまた事実。
この3日間語り続けてきた中に、少しでも心に響くものがあり、
それが本を手に取るきっかけになれば、これに勝る喜びはありません。
栄えある第1回『このライトノベルがすごい!』大賞・大賞受賞作『ランジーン×コード』。
どうぞよろしくお願いします。
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2010年09月22日
コトモノ入門 第2回
「このラノ」編集部のSです。
昨日に引き続き、本日の更新は「コトモノ入門(第2回)」です。
昨日は前置きが長かったので、今日はさくっと始めますよー。
さてさて。
コトモノというのが、「『遺言詞(いげんし)』によって、世界に対する認識が変わったヒト」
だというのは、昨日説明したとおりです。
認識が変わるのは、遺言詞を聞くことで、その人の脳が変質するためです。
脳の変質は、単に世界に対する認識を変えるだけでなく、
変化した認識に合わせて、その人の身体感覚さえも変化させます。
たとえば昨日例に挙げた、自分を透明人間だと思っているコトモノの場合、
他人の視線を敏感に察知し、その死角から死角へと動くことで、
「自分は透明人間である」という、彼にとっての現実を壊さないようにしています。
遺言詞による脳の変質は、それを可能にするだけの身体の変化をも、
そのコトモノに与えているのです。
とはいえ変化させられるのは、あくまで本人の身体まで。
自分の周囲の環境まで変化させられるわけではありません。
昨日はほかに、天と地が逆転していると感じているコトモノを例に出しましたが、
彼らの場合、彼らがどんなに「天と地が逆転している」と思っていても、
現実に重力が逆転するわけではありません。
そこで彼らは、ワイヤーで天井から身体を吊り、天地逆転した生活を送ることで、
彼らの生きる現実と、本来の現実とのギャップを埋めているのです。
このように、コトモノたちは多かれ少なかれ、
自分たちの現実と、本来の現実とを擦りあわせながら生きているわけですが、
上に挙げた天地逆転生活を送っているようなコトモノの場合、
なかなかひとりではそんな生活はできません。
そこで多くのコトモノたちは、同じ種類のコトモノ同士で寄り集まり、
コミュニティを作って生活しています。
このコミュニティのことを『詞族(しぞく)』と呼びます。
詞族を作るには、同じ種類のコトモノがある程度の数集まっていなければいけません。
では、同じコトモノを増やすにはどうすればいいか。
コトモノではない人間に、遺言詞を聞かせればいいのです。
コトモノたちは、種類ごとにそれぞれ固有の遺言詞を持っており、
コトモノであれば、例外なく自分の持つ遺言詞を唱えることができます。
素質など、さまざまな条件が重なった人間が遺言詞を聞くと、
詠唱者と同様に脳が変質し、同じコトモノへと変わります。
このようにして、コトモノはその数を増やしていくのです。
(もっとも辺り構わず遺言詞を口にすると、
その場の人間が片っ端からコトモノ化してしまう恐れがあるため、
人前で遺言詞を唱えることは、法律で厳しく禁止されています)
遺言詞とは、その字面・発音からわかるように「言葉の遺伝子」と呼べるものです。
言葉の遺伝子によって増殖する、ヒトとは異なる生命。それがコトモノなのです。
さて。
少しさかのぼりますが、コトモノの中には、脳が変質した結果、
身体能力や感覚さえも変わってしまう者がいる、と説明しました。
その中には、人間にとって有益なものをもたらしてくれる者もいます。
たとえば作中には、風の動きを感知し、それをコントロールすることで
会話をするコトモノが登場します。
彼らの能力を応用すれば、天気をコントロールすることもできるようになるかもしれない――
そう考える人がいてもおかしくないですよね。
作中では、このように社会に利益をもたらす可能性のあるコトモノを
産業利用する企業が登場します。
また、コトモノの性質を利用した産業は「遺言詞産業」と呼ばれ、
社会を支える重要なものになっています。
けれど、コトモノとは本来、人間とは異なる現実に生きる別の生命。
それを人間の都合で、自分たちの利益のために利用することが、果たして正しいことなのか。
また、コトモノの中には、利益どころか、人間に害を与える可能性のある者もいます。
人間の側でも、コトモノを「ビョーキ」と見なし、
ことさらに遠ざけようとする考えが根強く残っています。
詞族を作れない少数派のコトモノは、生きていくのが精一杯なケースもままあり、
彼らをどの程度保護してやるべきかという問題もあります。
コトモノのいる世界と、それによって起こるさまざまな問題。
それに主人公たちがどう立ち向かっていくかが、物語のテーマのひとつでもあり、
2巻以降も多かれ少なかれ描かれていくことになるでしょう。
「なんかややこしそうだなー」と思ったそこのあなた。
心配しなくても大丈夫。
たしかにいろいろとヤヤコシイテーマも扱っていますが、
ストーリーの基本はエンターテイメント。
上で書いてきたような問題は、物語を追いかけていくうちに、
登場人物たちが向き合う問題でもあります。
彼らの活躍を見ながら、その視点を通して、読者の皆さんも
物語の裏にあるテーマに自然と向き合える、という寸法です。
では、そうしたテーマを裏に隠し持った、
『ランジーン×コード』とはどんな物語なのか? そしてその魅力とは?
それについては、明日改めて語りたいと思います。
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2010年09月21日
コトモノ入門 第1回
ご無沙汰してます。「このラノ」編集部のSです。
「このラノ文庫」創刊から10日。すでに刊行作品を読んでくださった方も多いと思います。
この10日間、発売に授賞式とイベントが目白押しでてんやわんやしていましたが、
編集部もようやくそろそろ落ち着いてきたかなという感じです。
ブログの更新もTさんにまかせっきりでしたが、本日から私も復帰することになりました。
このラノ大賞&文庫はまだまだ始まったばかり。
今後とも何卒よろしくお願いいたします。
さて、刊行直前には各担当から作品の見どころを紹介してきましたが、
本日はいよいよ真打、大賞受賞作『ランジーン×コード』の魅力を、
担当の私Sがたっぷりとお伝えしたいと思います。
……え? 「もう読んだし、今更そんなもの語られても」?
……ふふふ。
その回答は予測済みだッッッッッ!!!!!
というわけで、本編読了済みの方でも楽しんでいただけるよう、
ない知恵絞って考え付いたのが今回の更新内容。
題して「第1回 コトモノ入門」です。
『ランジーン×コード』最大の特徴にして魅力、それが「コトモノ」という概念。
ヒトであってヒトでない、この不可思議な存在が生まれたこそ、
『ランジーン×コード』という物語が生まれたといっても過言ではありません。
いわばこの作品の核となる概念なのですが、その独特の設定が、
「理解しづらい」という声をいただいているのもまた事実。
しかしそれで本を閉じてしまうのはもったいない! というのは、
読み終えた方々にはきっと同意していただけるはず。
そこでこの場を借りて、「コトモノとは何か?」について、
なるたけわかりやすく解説してみたいと思います。
コトモノとは、ひと言で言えば、
「ある『言葉』によって、世界のとらえ方が変わってしまったヒト」
のことです。
ここでいう「ある『言葉』」というのは、ちょっとした暗号のようなものだと思ってください。
普通の人には理解できない、特殊な意味や発音を持つ『言葉』。
その言葉を聞いた人は、脳が変質してしまい、普通の人と同じようには
世界を認識できなくなってしまいます。
そうなってしまった人こそが「コトモノ」と呼ばれる存在であり、
人をコトモノに変える『言葉』のことを、『遺言詞(いげんし)』と言います。
(必ずしも『遺言詞』を聞いたすべての人がコトモノになるわけではありません。
また、人以外の生き物も、『遺言詞』によってコトモノとなる可能性があります)
さて、「世界のとらえ方が変わる」とはどういうことか?
たとえば私たちは、リンゴを見ておおむね「赤い」と思います。
そのように感じるのは、脳がそう認識しているからだ――
というのは多くの方がご存知かと思いますが、
逆にいえば、その脳の感じ方が変わってしまえば――
たとえば赤いものを「青い」と感じるようになってしまえば、
その人はリンゴを見て「青い」と思うようになります。
そしてその人にとっては、「リンゴ=青」というのが真実になるのです。
コトモノというのは、さまざまな出来事に対して、
上記のような「認識の変化」が起こっている人々のことです。
その人をコトモノへと変えた『遺言詞』の種類によって、
認識の変わり方も異なってきます。
○地面が空で、空が地面だと感じる(天地が逆転する)
○自分が透明人間であると思い込む
○風の音が会話に聞こえる
上記は作中に登場するコトモノたちの、「変化した認識」の一例です。
コトモノたちにとっては、上に挙げたような捉え方こそが真実であり、
彼らはそのことに対して疑問を感じません。
あるコトモノにとっては、天と地が逆さまになっていることのほうが自然であり、
またあるコトモノにとっては、自分が他人の目に見えないことは当たり前のことなのです。
我々にとって、土のある場所こそが地面だということや、
他人に自分の姿が見えていることが、当たり前であるように。
突き詰めれば、コトモノとは普通の人間とは違う現実に生きている存在なのです。
そんなコトモノたちと人間とは、本来なら共に暮らしていけないはずですが、
あるときを境にコトモノが急増したことによって、否応なく共存せざるを得なくなっていきます。
ヒトとコトモノ、異なる現実に生きるふたつの生命は、互いにどう向き合っていくのか。
そして主人公・武藤吾朗は、そんな両者とどんなふうにかかわっていくのか。
それが『ランジーン×コード』のテーマのひとつでもあります。
長くなったので本日はここまで。続きはまた明日。
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2010年09月17日
ひさびさの日常……?

このラノ文庫、発売から1週間、
受賞式も無事に終わり、
編集部も少し落ち着きを取り戻しているところ……
でもありませんね(笑)
11月に刊行を控えている本誌
『このライトノベルがすごい!2011』の
準備などでも忙しくしております。
アンケートも引き続き実施中ですよ~。
ラノベ読みのみなさま、ぜひご参加を!
アンケートサイトへこちらから
今年はどんな作品がランキングに入ってくるんでしょうかね?
楽しみです。
明日から3連休!
お時間のあるタイミングでの投票お待ちしています。
それからそれから……、
ツイッターではチョロっとお知らせしましたが、
このラノ受賞作特集サイトの立ち読みが新しくなりましたよ!
(各作品紹介ページ上部の立ち読みアイコンをチェックです。)
今まではイラストが無いβバージョンでしたが、
新バージョンでは、口絵イラストなども公開中!
実際の文庫作品の雰囲気を今まで以上に知ることが出来るかと。
気になっている作品がある方は要チェックですぞ。
それからそれからそれから……、
スペシャルブログにて、
ちょっとおもしろい連載を開始予定!
乞うご期待。(ニヤリ)
このラノ文庫、このラノ大賞に興味がある人は必見の内容になるかと……。
こちらは詳細が見えてきましたら、
また、ブログ、ツイッターなどでお知らせしますね。
そのほかにも、企画を検討中。
これからも盛盛盛りだくさんな内容で、
お送りしていきますよ!
おたのしみに~!
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